不動産視点で選ぶ、医院開業・成功への5つのヒント:トラブル対応で見極めるビル(第5回)
クリニック開業のヒント
成長を見据えた管理体制のチェック
医院を開業するときには、診察室を何室作るか、待合室を何席にするか、といったことを考えます。
しかし意外に見落としやすいのが、患者さんの自転車をどこに置くかという問題です。
開業当初は問題がなくても、患者さんが増えてくれば、一度に何台もの自転車が来るようになります。
駐輪スペースが足りなければ、歩道にはみ出したり、他のテナントの入口付近に置かれたりして、トラブルになる可能性があります。
ここで確認したいのは、現在の駐輪台数だけではありません。
「患者さんが増えたとき、オーナーは一緒に対策を考えてくれるか」という点です。
スペースを整理する。
駐輪方法を変える。
必要なら新たな対策を検討する。
医院が成長すれば、建物側にも新しい課題が生まれます。
その変化に柔軟に対応してくれる管理体制かどうか。
成功した後のことまで想像して物件を見ることも、開業前には大切だと思います。
トラブルが起きたときに分かる「本当に良いビル」
建物には、どれだけ管理していてもトラブルが発生することがあります。
雨漏り、漏水、設備故障、窓ガラスの破損などです。
大切なのは、「トラブルが絶対に起きない建物」を探すことではなく、
「起きたときにきちんと対応してくれる建物」を選ぶことではないでしょうか。
私どもが長年テナント仲介をする中でも、上階から水漏れが発生しているにもかかわらず、
オーナーが十分に対応してくれず、
「もうここでは営業できない。移転先を探してほしい」と相談に来られた方がいました。
また、自然に生じたと思われる窓ガラスのひびについて、原因を十分確認しないまま
「テナント負担です」と言われ、困って相談に来られたケースもありました。
もちろん、修繕費を誰が負担するかは、契約内容や原因によって判断されます。
しかし、それ以上に重要なのは、問題が起きたときに相手の話を聞き、原因を調べ、
解決しようとしてくれるオーナーかどうかだと思います。
医院の場合、漏水一つでも医療機器や患者さんに影響する可能性があります。
開業前にはぜひ、「緊急時の連絡先はどうなっていますか」
「漏水や設備故障の場合はどのように対応されますか」と聞いてみてください。
その答えだけでなく、質問したときのオーナーの姿勢を見る。
それも、医院を長く安心して経営するための大切な物件選びだと思います。
5回を通してお伝えしたいこと
医院開業の物件選びには、数字だけでは判断できないことがあります。
街の将来性を見る。
自分の足で歩く。
自分自身の感覚を大切にする。
ビルだけでなくオーナーを見る。
そして、建物が将来どのように管理されていくかを見る。
医院は、開業した瞬間より、その後の10年、20年の方がはるかに長いものです。
だからこそ「借りるときの条件」だけでなく、
「ここで長く診療を続けられるだろうか」という視点から、開業場所を考えていただければと思います。
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